専用の塔から飛ばす、折紙飛行機 2009-02-23 07:33

折っただけでは終わらない。暮らしをいろどり、世界中に夢を与える、発展する折紙の姿を追った。
広島県神石高原町。岡山県との境に、地元の人たちから「豊松富士」と親しまれる標高663mの米見山がある。その頂上に立つ高さ26mの塔。

紙ヒコーキ・タワー

専用の塔から飛ばす、折紙飛行機

広島県神石高原町。岡山県との境に、地元の人たちから「豊松富士」と親しまれる標高663mの米見山がある。その頂上に立つ高さ26mの塔。

「とよまつ紙ヒコーキ・タワー」の

前に立つ戸田さん。手にしている

のは長さ1mの折紙飛行機

名を「とよまつ紙ヒコーキ・タワー」という。展望室に上がった。中国山脈の山々を360度見渡せる絶景だ。
塔を建てたのは、「日本折り紙ヒコーキ協会」会長、戸田拓夫さん。2002年、町から“町おこし”の相談を受けて塔の建設を提案。完成した翌年に折紙飛行機の全国大会を開催し、すでに3回を数えている。

「世界で初めての、折紙飛行機を飛ばすためだけに建てられた塔です」

米見山 と紙ヒコーキ・タワー

戸田さんは慣れた手つきで飛行機を折り上げ、窓から飛ばした。それは見事に上昇気流に乗り、山並の上を飛んでいった。思わず「おおっ」と声が出る。

「ね! 爽快で、楽しいでしょう」

子どもの頃からの折紙飛行機づくりの趣味が高じて、戸田さんが協会までつくったのは1995年のことだった。いま会員は、全国に約2000人。

「ハサミを入れず、のり付けもせず、一枚の紙で折る。いってみれば一枚の紙に“飛ぶ”という新たな価値を与えること。これがまず、折紙飛行機の魅力ですよね。次に、誰でもすぐにつくれて、飛ばせること。しかし、工夫次第で性能を上げられる奥深さもある。そして大空高く飛ばす爽快感……」

いくら話しても話し尽くせない様子だ。これまでに創作した折紙飛行機は約500種。室内滞空時間19秒という記録も、まだ破られていない。現在、フランスとタイに協会の支部があり、戸田さんは、この塔を世界の折紙飛行機の「聖地」にしたいと夢見ている。

「2010年には世界大会をやって、それまでには支部も15カ国に広がればいいなあ、と思っています」

紙ヒコーキ教室

Reference: NIPPONIA No. 41 Jun 15, 2007

http://www.jinsekigun.jp

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